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清 水 陽 介 <チェリスト>
2026 年 03 月 03 日 (火)
©︎T.Tairadate
岐阜市出身の気鋭の若手チェリスト、清水陽介さんのチェロ・リサイタルが4月4日(土)に開催されます。昨年の夏「アーラ未来の演奏家プロジェクト2025」で登場した清水さんが、満を持しての登場です。チェロを始めたきっかけから将来目指す姿、そして「レア曲」までを引っさげて挑む公演について、お話をうかがいました。その場にいる人を笑顔にさせ、 骨抜きにするその人柄からも目が離せません。
6歳からチェロを始められたそうですね。先にヴァイオリンを習われていたそうですが、そのままヴァイオリンを極める道は考えなかったのでしょうか。
もともとチェリストの柏木広樹さんに憧れていて、「音楽っていいな」と思う子どもでした。4歳上の兄がヴァイオリンをやっていたこともあって、ぼくも一緒に習うようになったのですが、「ヴァイオリンを一生懸命やったらチェロの先生を探してあげる」と両親に言われて始めたので、自分のなかでは「ヴァイオリンを続けた先にチェロがある」と思っていました(笑)。なので、最初から「はやくチェロがやりたい!」と思いながら、ヴァイオリンを弾いていましたね。
念願のチェロを始めてからはみるみる才能を発揮し、地元・岐阜で開催された「ぎふ・リスト音楽院マスタークラス」で、名チェリストのチャバ・オンツァイ氏の目に留まり、留学を勧められたとお伺いしました。
高校から音楽科へ進学することは考えていて、岐阜か名古屋か東京を選択肢に入れていました。ですがオンツァイ先生が「早い時期からヨーロッパで勉強してみないか」と声をかけてくださって、新たな選択肢としてハンガリーが挙がり、結果として中学3年生の夏休みに渡欧しました。ハンガリーの学校は9月始まりなので、夏休み明けにいなくなっていたぼくに地元の同級生たちは驚いたと思います(笑)。中学校を卒業して半年後の夏にハンガリーに行く道も考えましたが、早く行った方が多くのことを吸収・成長できますし、もうこの勢いでハンガリーへ行ってしまおう! と決断しました。
2025年6月に「アーラ未来の演奏家プロジェクト2025」にも参加されています。
新鮮で、経験したことのない1週間でした。毎日公開リハーサルがあって、学校でアウトリーチやレッスンをしたりと地域に密着した日々でしたが、その一期一会な感じが、ぼくがふだんから心がけている音楽観と合致していてとてもよかったです。お子さんからお年寄りまで、多くの方が楽しめるコンサートを作るためにはどういった心がけが必要か、気づいた点もたくさんありました。MCひとつとっても、上手な言葉選びができるようになったかなと思います。

「演奏する」と「教える」ではずいぶん違うものがありますよね。
その方に合った演奏に導くためには、どんな言葉で、どう伝えたらいいか。語ることによって作品についての新たな発見があり、ぼく自身の糧にもなります。自分で弾いているときに聴こえる音と、お客さんの立場で聴こえている音は意外と違うのですが、それも客観的に見ることができて、とても勉強になりました。
今回の「清水陽介チェロ・リサイタル」は、現時点で3曲のプログラムが予告されていますね。どのように決められたのでしょうか。
チェロは人間の声に一番近い楽器と言われています。まずは「チェロの音」と「チェロの声」をお届けしたいと、プログラムを構想するうえで考えました。そうなると「歌心」を遺憾なく発揮できる作品が、サン=サーンスの《白鳥》です。
次に、今回共演していただく津田裕也さんがすばらしいピアニストなので、津田さんと音楽で対等にコミュニケーションできる作品を考えました。自然とベートーヴェンのチェロ・ソナタ第3番が思い浮かび、プログラムに組み込みました。
ぼくの趣味に、あまり知られていない曲やレア音源・譜面の発掘があり、それらをお届けしたいという思いもあって、毎回そういった趣旨の作品を入れています。ダンツィの《「ドン・ジョヴァンニ」の主題による変奏曲》は、マリア・クリーゲルというチェリストのCDを聴いたときに初めて知った曲です。原曲はモーツァルトの有名なオペラ《ドン・ジョヴァンニ》より〈お手をどうぞ〉ですが、この作品ではヴァリエーションになっています。原曲もすばらしい作品ですが、チェロで弾くと踊っているようにも聴こえるんですよ。今回のコンサートで初めて披露する作品になります。
ピアニストの津田裕也さんとはこれまでにご共演歴はありますか。
津田さんはここ数年、京都で行われているロームミュージックセミナーのマスタークラスの公式ピアニストをされているのですが、すばらしい音色に衝撃を受けました。お人柄もとても素敵で、いつか一緒に演奏できる機会があればと思っていたので、今回、ようやくコンサートとして共演がかないます。
では清水さんからラブコールをされてのご共演なのですね。津田さんはどういったピアニストだという印象をお持ちですか?
音楽にお人柄がにじみ出ているなと思う部分がたくさんあります。まずは誠実さ。芸術的で、歌心があって、でもそれを決してひけらかさなくて、ひとつひとつの音を丁寧に、心を込めて作られている方です。
今回の公演の聴きどころを教えてください。
チェロって、ソロの楽器というよりはオーケストラで見ることの方が多い楽器ではないでしょうか。「低音で支える」イメージが強いかと思いますが、実は鍵盤楽器の次に音域が広い楽器でもあります。低い音から高い音まで、自由自在で美しい音色を、すばらしい作品とともにお聴きください。
また、チェロの新たな魅力を感じていただけるようなコンサートにもしたいと思っています。「こんな音も出せるんだ」「ソロの楽器としても成立するんだ」ということも知っていただきたいですね。
取材/浅井彩 協力/フリーペーパーMEG
清水陽介チェロ・リサイタル
2026年4月4日(土)開演14:00
可児市文化創造センターala 小劇場
全席指定3,000円 25才以下1,500円
※当日ハーフプライス
※未就学児入場不可
プロフィール
清水 陽介 YOSUKE SHIMIZU
岐阜県出身。6歳からチェロをはじめる。14歳で単身ハンガリーに渡欧。2021年よりハンガリー政府奨学生として、ハンガリー国立リスト・フェレンツ音楽大学にて研鑽を積み、2024年同大学を卒業。2024年ブラチスラバ国際チェロコンクール第1位受賞(スロバキア)他国内外のコンクールで受賞多数。令和5年度岐阜県芸術文化奨励賞受賞。令和6年度清流の国ぎふ栄誉賞受賞。これまでにソリストとしてハンガリー放送交響楽団、スロバキア放送交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団などと共演。2025年シャネルピグマリオンデイズ参加アーティスト。現在ソロ、室内楽を中心に国内外で活動中。これまでに林良一、チャバ・オンツァイ、宮田大他各氏に師事。