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吉田栄作<俳優・歌手>

2026 年 05 月 13 日 (水)

イギリスの国民的作家チャールズ・ディケンズが1843年に出版し、今なお世界中で愛読されている『クリスマス・キャロル』。その傑作小説をもとにした2013年初演のオリジナル・ミュージカルが今年、12月にアーラに登場します。主役である、並外れた守銭奴で人間嫌いの強烈なキャラクター「スクルージ」を3年振りに演じられる吉田栄作さんにお話を伺いました。

可児市に来られるのは2012年の『ローマの休日』(演出:マキノノゾミ)以来です。

「ヤイリギター」のある可児市のことは忘れません(笑)。もちろん、あの素敵な劇場で再び皆さんに会えるのを心待ちにしております!

ケチで冷酷な老人の代名詞「スクルージ」役は2022年に続いて2度目の登板となりますが、前回の手応えは?

とにかく文豪ディケンズの書いた小説が完璧に近く素晴らしいので、原作から大きく逸脱さえしなければ成功は約束されている。19世紀からクリスマス・ストーリーの定番として世界中で愛され続けているお話で、お子さんも楽しめるし、人生経験を重ねた大人が観ても「仕事ばっかりして家族を疎かにしていたな」とか、自分を省みていろいろと思い当たるところがあったりして、より心に響くはず。僕も自分の中にある「スクルージ」的な部分に随分と気づかされて、演じながら様々な場面で感情が溢れてきました。そういう気持ちを綺麗に浄化してくれる作品なのです。

どのシーンが印象的ですか?

たくさんありますよ、全部と言っていい。先ずクリスマスの精霊に導かれて最初に訪れた「過去」からして鮮烈です。彼自身も忘れていた、悲しくも辛い記憶を追体験させるのは、観客に「こんな孤独で不運な過去があったからこそ、あんなにも偏屈な老人になってしまったのだ」とスクルージに対して少し同情するような気持ちを芽生えさせる仕掛けもあって、本当に見事だと思います。

誰もが親しめるミュージカル仕立てであることも本作の魅力ですね。

そうですね。やはりミュージカルの歌唱って、普段歌っているロックやポップスとはまた違って、客席に台詞の延長としてダイレクトに届けられるものだから。そのために稽古期間をしっかりとって、今回も頑張ります。

音楽的にお好きなシーンは?

これもひとつには絞れないけれど、過去に想いを寄せていた女性イザベラとの再会、そして再び別れを体験する場面などはいいですね。あとやっぱり、かつての盟友でビジネスパートナーだったマーレイの亡霊がクライマックスで「もうお前は大丈夫だ」ってスクルージを見届けて、彼を拘束していた鎖から解き放たれる場面の音楽が凄く感動的なので、ぜひお見逃しなく。

マーレイ役は2013年の初演より、唯一シングルキャストで演じ続けられている吉田要士さんです。

前回も共演させていただきましたが、初演から深く関わってこられているだけに作品への理解も深く安心してご一緒できます。それに要士さんって、意外と毎回違う“芝居”をされるので「そうきたか、じゃあこっちは…」って対応できて面白い。そういう人との方が相性いいんです、恐らく自分も同じタイプだから(笑)。

スクルージにとって鍵となる三人の女性をひとりで演じられる土屋アンナさんとは、今回が初共演ですね。

アンナさんやる気満々で、特にメッセージをくれる老婆役をノリノリで演じてくれそうなので期待しています。

演出・台本・音楽をひとりで手がけられている西田直木さんはどんな方ですか?

本作は完全に西田さんの作品なので、全てを彼に委ねることができますね。稽古場では決して厳しい人ではないけれど、良い意味で細やかな人。僕自身もお客さんとして舞台を観に行くと、結構アンサンブルのひとりひとりの動きまで目にはいるのですが、たまに世界レベルの舞台でもステージの隅っこの人がサボっていたりするんですよね(笑)。いちばん端っこの役者が活き活きと演技されているのを見ると嬉しくなるので、そこを徹底されるのが僕の思う腕のいい演出家で、細部にこだわる西田さんも間違いなくそのお一人です。きっと演劇好きな可児市の皆さんにもわかっていただけるはずです。

今後も、ミュージカルでの活躍も楽しみにしております。いつか演じてみたい役柄はありますか?

『オペラ座の怪人』のファントムを演じてみたいですね。別の作品で彼の父親をやらせていただいたので、次は本人を。ブロードウェイで観たとき、ファントムの人がカーテンコールでも役のイメージを崩さずにいたのが妙にカッコよくて、それ以来ときどき「吉田栄作」に戻らず役柄のままで拍手を受けたりしています。

では今回も意地の悪い「スクルージ」のままでカーテンコールを?

いえいえ、改心した後のスクルージだから笑顔ですよ。

それなら、安心して子どもを連れて観に行けますね。

ぜひ、ご家族や友人、愛する人と一緒に劇場に足を運んでください、今年のクリスマスを楽しむイベントのひとつとして。お待ちしています!

ところで、吉田さん自身の忘れられないクリスマスの想い出は?

まだ存在を信じていた幼い頃、サンタクロースがおもちゃの詰まった袋を持って家に来てくれたことがあって、4つ歳上の兄貴と一緒に夢中でそれぞれ好きなものを選べたのが最高でした。正体は父が手配した近所の玩具店の兄ちゃんだったのですが、あれは忘れられないですね。

取材/東端哲也 撮影/三友鉄也 協力/フリーペーパーMEG

ミュージカル「クリスマス・キャロル」

2025年
12月20日(土)14:00
可児市文化創造センターala 主劇場
全席指定 7,000円 25才以下3,500円

プロフィール

吉田栄作 YOSHIDA EISAKU

神奈川県出身。1988年「ガラスの中の少女」でスクリーンデビュー。TVドラマ「もう誰も愛さない」「愛さずにいられない」などトレンディドラマ俳優として一世を風靡。2003年「武蔵」(NHK大河ドラマ)、「ブラックジャックによろしく」(TBS)の演技が評価されギャラクシー賞の奨励賞を受賞。舞台にも多数出演、2006年の初舞台「やわらかい服を着て」(作、演出:永井愛)以降、2007年10月、世田谷パブリックシアターでの音楽劇「三文オペラ」(演出:白井晃)や、2008年新国立劇場の「オットーと呼ばれる日本人」(演出:鵜山仁)など重厚なメッセージを持つ作品の主演を務める。今年7月には「氷艶2025~鏡紋の夜叉」に出演。優れた演技で高い評価を得ている。

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