Event report

公演レポート

シリーズ恋文 vol.15

2025 年 11 月 29 日 (土)

可児から長岡、山形へ

「大宮の うちにありても あつき日を いかなる山か 君はこゆらむ」
この一首は、明治14年(1881年)、明治天皇が秋田県二ツ井町を訪れた際、皇后から贈られた恋文に記されていた言葉です。この心温まるエピソードから100年以上の時を経て、秋田県二ツ井町では“恋文文化”を現代に甦らせる試みとして「全国恋文コンテスト」が始まりました。

 1994年から2003年までの10年間に寄せられた恋文は、実に34,227通。そこには、一般の人々の切実な想い、人生の一場面、言葉に託された愛が詰まっています。それらの恋文を再構成し、「朗読」という形式で舞台化したのが〈シリーズ恋文〉です。2010年に始まった本シリーズは、今回で第15回を迎えます。秋田県二ツ井町で紡がれてきた恋文たちは、可児の地で舞台として結実し、今年はさらに可児市から長岡、山形へとその想いを広げていきました。

 優れた恋文には、書き手の人生や物語が背景として立ち上がります。そして愛する人への強烈な想いが、観る者の心を静かに、そして確かに揺さぶります。

 構成・演出はラサール石井さん。2年前に上演された作品を一部リニューアルし、中村雅俊さんと真野響子さんという豪華な顔合わせが再び実現しました。二度目の共演ということもあり、作品はより洗練され、深みを増した舞台へと進化していきました。

 中村雅俊さんのダンディーさの中に垣間見えるおちゃめな一面は、観客の心をくすぐり、真野響子さんの凛とした佇まいと包容力は、舞台全体をやさしく包み込みます。長年にわたる共演を重ねてきた二人だからこその信頼関係は、まるで長年連れ添った夫婦のような美しさを放ち、舞台上で静かに輝いていました。

 朗読後のアフタートークでも、その息の合い方は変わりません。中村さんの大らかで温かな語り口と、真野さんの江戸っ子気質あふれる歯切れのよさが互いの魅力を引き立て合い、「俺たちの旅」にまつわるエピソードや、互いの失敗談、ご当地での縁ある人々の話など、いつまでも聞いていたくなる時間が流れていました。

 明治天皇も、二ツ井町で生まれた一通の恋文が、100年以上の時を超え、朗読劇として舞台化され、可児、長岡、山形へと広がっていく未来を、きっと想像することはなかったでしょう。今回改めて、時空を超え、人々を魅了し続ける「恋文」の普遍的な力に改めて気づかされました。是非、来年度の「シリーズ恋文」にもご期待ください。

プロデューサー 澤村潤

公演アンケートより

初めての朗読劇でピアノ演奏も素敵で、映像と想像の世界に酔いしれておりました。次回も是非訪れたいと思います。ラサール石井さんの熱量と中村雅俊さん、真野響子さんの思い入れ深い劇に感動のひとときとなりました。ありがとうございました。(60代・女性)

手紙の内容が文字がイキイキと表現されて、フッと笑ってしまったり、悲しい気持ちになったり、知らない誰かの人生の一部を知り、応援したくなったり、同調したり短い時間の中で日常には忘れていた気持ちを引き出してくれた空間であり、時間でした。ありがとうございます。(60代・女性)

朗読では、場面が頭に浮かび、入りこみました。アフタートークでは目の前で裏話などがきけて、役者さんも身近に感じ楽しかった。貴重な経験ができました。(50代・女性)

日 程

2025年11月29日(土) - 30日(日)

会 場

可児市文化創造センターala 小劇場

構成・演出

ラサール石井

出 演

中村雅俊、真野響子

音 楽

黒木由香

集客数

11月29日 224人
11月30日 227人

主 催

(公財)可児市文化芸術振興財団

地方公演

12月4日(木) 新潟・長岡リリックホール
12月6日(土) 山形・東ソーアリーナ

一覧へ戻る