Event report

公演レポート

ala Collection シリーズ vol.16「ハハキのアミュレット」

2025 年 10 月 05 日 (日)

可児で紡がれた祈りと継承の物語

 2025年10月5日、ala Collectionシリーズ最新作『ハハキのアミュレット』可児公演が無事に幕を閉じました。

 この企画の構想は、遡れば2023年3月。当時、横山拓也さんがala Collectionシリーズに関心を寄せていると伺い、所属事務所代表の山家かおりさんと都内の喫茶店でお会いしたことが始まりでした。そこから「2024年度のシリーズ恋文vol.14の構成・演出」、そして「2025年度のala Collectionシリーズでの作・演出」へと、話がトントン拍子で進んでいきました。

 その一方で、横山さんは2024年に第27回鶴屋南北戯曲賞、2025年には第59回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。名実ともに、いま日本演劇界を代表する劇作家のひとりです。

 ala Collectionシリーズはこれまで、名作の再構成に焦点を当ててきましたが、「横山さんとなら新作に挑みたい」という想いから、あえて書き下ろしを依頼しました。

 物語の軸は、棕櫚箒(しゅろほうき)を代々作る家族の物語。2025年1月、横山さんは和歌山県で棕櫚箒を製作している深海産業さんを訪ね、取材を通じて作品の核となる多くのインスピレーションを得られましたと後に話していただきました。この出会いがなければ本作は生まれなかったことでしょう。

 出演には、南果歩さん・平田満さんをはじめとする実力派俳優が集結。東京での2週間の稽古を経て、可児での2週間の滞在制作が始まりました。

 短い滞在期間ながら、24名の市民サポーターの皆さんが温かな言葉と差し入れで支えてくださり、稽古場には常にぬくもりがありました。南果歩さんはシリーズ初の“愛犬と共に滞在”というスタイルで、自然豊かな可児で創作に臨まれました。

 横山さんは、「演劇だけのことを考える時間があるというのは、とても豊かで幸福なこと」と語り、南果歩さんは「alaシステム(滞在型創作)を全国に広げてほしい」と話してくださいました。

 その言葉通り、この可児という土地の豊かな時間の流れの中で生まれたのが、『ハハキのアミュレット』です。

可児稽古初日。滞在を支えてくれる市民サポーターたちと一緒に

 作品は「継者問題」を軸に、兄妹の確執、婚前妊娠、伝統の継承、過疎化など、現代社会の縮図ともいえるテーマを軽やかな関西弁の台詞で描きました。登場人物たちはそれぞれの悩みや選択を抱えながらも、懸命に人生を歩み続けます。

 公演後には「身も心も全身で感動しました!」「大変面白かったです!」と、多世代のお客様から共感の声を多数いただきました。

 このような声が私たちにとって本当に大きな励みになります。支えてくださったすべての方々に、心より感謝申し上げます。

プロデューサー 澤村

日 程

2025年9月29日(月) - 10月5日(日)

会 場

可児市文化創造センターala 小劇場

作・演出

横山拓也

出 演

南果歩・福本伸一・緒方晋・橋爪未萠里・田中亨・東宮綾音・平田満

集客数

1,116名(6日間合計)

主 催

(公財)可児市文化芸術振興財団

全国公演

10月18日(土) ひたちなか市文化会館(茨城)
10月25日(土) 栃木県総合文化センター(栃木)
10月31日(金) はつかいち文化ホール(広島)
11月3日(月・祝) 日田市民文化会館(大分)
11月5日(水) 丸亀市綾歌総合文化会館(香川)
11月8日(土) 知立市文化会館(愛知)

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