Event report
公演レポート
ala Collection シリーズ vol.15「いびしない愛」可児公演
2024 年 10 月 14 日 (月)

第一線で活躍するキャスト・スタッフが可児市に滞在しながら演劇作品を創作し、可児公演に留まらず、東京そして地方へ発信していく本プロジェクト。
振り返れば1か月半前、可児で初めて顔を合わせてから共に作品づくりに切磋琢磨するなかで同志となり、可児公演千秋楽に客席から贈られた拍手喝采には、賞賛と共にこれから全国へ旅立とうとしている作品と座組への愛おしいエールが込められているように感じました。それは、この公演が作り上げられる過程において、沢山の皆さんとの交流があったことに他なりません。
初めての可児市での生活に、キャスト陣をまずお迎えしてくれたのは、市民サポーターさんお手製の “押しリスト” 付き可児MAP。このMAPを片手に生活に必要な物を揃え、生活にも慣れてくるとプライベートを充実させる可児探検の道しるべとなりました。サポーターさんは日々の稽古を見守り、広報宣伝の協力、品薄時のお米を筆頭とした沢山の差し入れ、手作りカレーパーティも開催くださいました。この温かい おもてなしは、地域の皆さんに支えられながら創作していると実感が湧いてくるものでした。

また、演出のマキノさんの計らいにより、地元高校演劇部の皆さんへ稽古見学の機会が開かれました。プロの制作現場を間近にした生徒たちは、いま目撃していることをひとつでも逃さないよう真っすぐな眼差しで、しきりにメモを残し、思わず笑いが起こったり、「凄っ」という声が出たり。帰り際に「どうだった?」と聞いてみると、「すっっごく面白い!」純粋な目から発せられたこの言葉は、作品への自信を持たせてくれるものでした。
作品は、高知県西部の幡多弁で展開するため、本作を世に生み出した作家の竹田モモコさんご本人に方言指導をお願いしました。竹田さんもご自身の劇団で本作を上演されていますが、稽古に立ち会い、マキノさんの行間を読む圧倒的な力とそれを的確に受け取りどんどん人格を形成していく役者さんを見て、「こんなに多角的で奥の深い芝居だったのかと、目からうろこが ぼろんぼろんでした。」と、作家ご自身も驚きをもって作品を再発見されたようでした。
今回で15回目を迎えたala Collection。 初の試みとして、「舞台手話通訳付き」公演日を設けました。初めて稽古場で拝見した手話通訳者の表現力と労働量は、想像を超え、圧倒されるものでした。福祉的な手話通訳ではなく、作品の中のひとつとして舞台に立ちたいと思いを伝えてくださり、早速マキノさんの天才的な発想での演出が加わりました。可児・東京・宇都宮・枚方・丸亀のそれぞれ1公演のみの「舞台手話通訳付き」。鑑賞された皆さんのみ、開演前から舞台上に展開される特別演出がご覧いただけたと思います。
人々が出会い交流するなかで育まれた「いびしない愛」は、ストーリー同様に “この場所” が自分たちの居心地のいい居場所となっていくようでした。皆さまのご尽力ご来場、本当にありがとうございました。東京そして地方公演でも、可児の温もりが感じられる上演が実現できることを祈りつつ。
事業制作課 渋谷
日程
2024年10月9日(水) - 10月14日(月・祝)
会場
可児市文化創造センターala 小劇場
作
竹田モモコ
演出
マキノノゾミ
出演
南沢奈央、東風万智子、佐藤祐基、内藤裕志、長江英和
集客数
942名(6日間合計)
主催
(公財)可児市文化芸術振興財団
全国公演
10月19日(土) 長岡リリックホール(新潟)
10月25日(金)-31日(木) 吉祥寺シアター(東京)
11月2日(土) 栃木県総合文化センター(栃木)
11月4日(月・振休) 枚方市総合文化芸術センター(大阪)
11月6日(水) 丸亀市綾歌総合文化会館(香川)