Essay
エッセイ・連載
アーラの開館から四半世紀
2021- 館長 篭橋義朗
2026 年 11 月 01 日 (日)
9月6日に丸亀市民会館(シアターマド)の開館記念式典に参加させていただきました。玄関でのテープカットに続きホールでの記念式典では舞台の杮落し(こけらおとし)には欠かせない祝いの舞「三番叟」が披露されました。式典の次第は定型的なものですが、いたるところに丸亀市がめざす「みんなの劇場」の理念が具現化されていました。高校生による司会進行や市文化協会所属の華道家による多数の巨大な作品の展示、野外では伝統ある獅子舞が披露され、それに続く「第九演奏会」など丸亀市民のよろこびがひしひしと伝わってきました。丸亀市においては旧市民会館の取り壊し後、新しい施設の建設を検討する中で10年ほど前からアーラの運営方針である社会包摂的劇場運営について研究され、何度も来訪され、また前館長の衛紀生氏や私も何度か丸亀市に行ってお話をさせていただきました。この度のオープンを経てさらに連携をしていきたいと思っています。
24年前(2002年)の可児市文化創造センター・アーラのオープンを感慨深く思い出しました。アーラ・オープン時は某狂言師によるダブルブッキングのスキャンダルでマスコミ取材が殺到し、担当である私は厳かな式典を感じる余裕がありませんでした。ようやくその夜の第九演奏会での市民オーケストラと合唱団の演奏を鑑賞したころからそれまでの市民の皆様との協働で準備を進めてきたこと、そしてオープン後のアーラのことなどが頭を駆け巡っていました。あれから来年で25年が経とうとしています。この間、上質な舞台芸術を紹介し、様々なアーティストからも劇場のすばらしさを称賛いただき、それが伝播して全国的にも高い評価を受けるに至っていると思います。そしてそれを支える市民の皆様の様々な利用形態にお応えし、共に快適な劇場空間を提供できたことは利用される皆様との協働によるものであると改めて感謝申し上げます。
今回、丸亀市民会館のオープニングに際して、劇場がその地の住民の誇りを形成しまちづくりの核となることを改めて心に刻みました。地域の公立文化施設としてその地で生活する人々の心の豊かさの形成に貢献し、住み心地の良い地域づくりに資することが私たちの任務であると思います。しかしそれは長い年月の積み重ねが必要です。一朝一夕に実現するものではありません。今後も皆様のアーラに対する支援と支持がいただけるよう努力してまいります。