Essay
エッセイ・連載
ウェルビーイングについて
2021- 館長 篭橋義朗
2026 年 09 月 01 日 (火)
最近、政治や経済、教育、そして文化の領域でも「ウェルビーイング(Well-being)」という言葉をよく耳にするようになりました。「身体的・精神的・社会的に良好で満たされた状態であり、持続的な幸福や生きがいを感じていること」——そう定義されるこの言葉に触れるたび、私は親近感を覚えます。なぜなら、この「一人ひとりが自分らしく、満たされて生きる」という考え方こそ、私たちがこれまで文化芸術の現場で愚直に追い求めてきた「あるべき姿」そのものだからです。 効率性やスピードが求められる現代のデジタル社会では、ともすれば事物を「0か1か」「白か黒か」で明確に分けがちです。しかし、人間の心や人生の営みは、決して割り切れるものではありません。0.5の迷い、0.8の葛藤、「グレーゾーン」と呼ばれる余白の中にこそ、人間らしさや他者への思いやりが芽生えます。失敗しながらも修復し、お互いを認め合って立ち直っていく。その「寛容性と謙虚さ」を育む基盤になるのが、まさにウェルビーイングの思想であり、文化芸術の効用、役割なのだと感じています。 アーラはこれまで、「住みごこち一番・かに」を目指し、小さくても具体的な事業を日々実践してまいりました。私たちが愚直に取り組んできたこの活動こそが、まさにウェルビーイングを体現するものだと改めて確信しています。アーラにとってウェルビーイングとは、新しく目指すべき流行の概念ではなく、これまで追い求めてきたあるべき姿そのものです。文化芸術を通じて、多様な人々が輝けるウェルビーイングな社会を、皆さんとともに育んでいければ幸いです。