再出発の春
2023年3月30日
可児市文化創造センターala 館長 篭橋義朗
4月、出会いの季節です。時は同じように流れているのですが、4月には特別な感覚があります。学校では新1年生を迎えそれぞれ学年が上がり、会社では新入社員が希望に胸を膨らませて新しい人生をスタートさせます。新体制のなか、思い思いの再出発の風を感じます。
3年間の長きにわたるコロナ禍を乗り越えて、世の中はようやく本格的に日常を取り戻しつつあります。私はこの間に多くのことを再認識しました。特に身体的距離は心理的距離となり、人間関係にも影響を及ぼすということです。今までは簡単にできていたコミュニケーションもマスクで表情が隠れてしまっていると気持ちが上手く伝わりにくいこと、ウェブ会議も効率的ではありますが、いわゆる「無駄なおしゃべり」が少ないため創造的アイデアが生まれにくいこと、そして知人や職場の仲間などとの会食は、人となりを知る機会でもあり、人間関係の円滑化にとても重要であることなど・・・。人間が社会的な生き物であり、他人と関わりながら助け、助けられて生活しているという基本的なことに気づきました。長らく当たり前となっていたマスク着用も個人の判断となりましたが、未だ「距離」を感じる場面は多々あります。意図的に「日常」を取り戻す努力をしなければ、コロナ禍以前の「日常」は戻ってこないかもしれません。コロナ禍からの再出発の春、改めてアーラが市民の「日常」にどう貢献できるか、考えています。
この4月から政府はこども家庭庁を発足させました。その各種施策に対するご意見はいろいろあるでしょうが、いずれにしてもここまで正面から「子ども」に光を当て、国全体で取り組む姿勢が鮮明になったことはこれまでなく、大きな期待を寄せています。私の世代から言えば孫世代の子どもたちの健やかな成長や子育て世代が安心して子育てできる環境整備が社会の安心と安定と明るさに繋がるならば、国レベルで子ども・子育て支援施策を展開するということはとても重要であって、地域単位でも我がこととして考えなければいけないことと思います。アーラにおいても改めてこれまでの市民参加事業やコミュニティ・プログラムをより充実させていきたいと気持ちが高揚する4月です。