Report
ala まち元気プロジェクトレポート
エイブル・アート展「生活へのまなざし」
2025 年 07 月 20 日 (日)
16回目の開催となった今回のテーマは「生活とアート」。暮らしの中での出来事や、身の回りにある素材や題材をもとに表現を育む5人の作家が紹介されました。
「エイブル・アート展」の魅力は、豊かな発想から生み出される作品たちはもちろんのこと、その背景にある制作過程エピソードや、作家さんの人柄が垣間見れる解説が一緒に展示されていることです。キャプションを読んで作品に再び目を向けると、尊さが増すような、作品から受けとるものの奥行が広がるように感じます。 今回紹介した作品と共に、会期中のエピソードをご紹介します。
■風香(たんぽぽの家アートセンターHANA/奈良)


大胆な配色で生きものの生命力が際立つ絵画作品、パッチワークのように布を幾重にも組み合わせた布作品、現像した写真の上に自由な発想で絵や言葉が躍る写真シリーズ。すべて風香さんの作品と聞いて、そのフィールドの広さにまず驚かされます。布の作品は風香さんによる配置が決まると、ご家族やボランティアの皆さんが細かく丁寧にミシン掛けされるそうです。ミシン掛けの輪はいつの間にか複数人に増え、かつその技術も向上していたそうです。使用される布は地元企業等から提供されたものとの事。風香さんの存在でいろんな人と物がつながって一点物としての輝きを放っていました。
■YOU(YELLOW/大阪)


今回の「エイブル・アート展」フライヤーに選ばせていただいたのがYOUさんの作品。選定理由はその見る者を魅了する鮮やかさと圧倒的な存在感です。まるで印刷されたように均一に塗られたインク。同じ水性マーカーを使ってもとても真似できないテクニック。展示作品のなかでお客様から圧巻の声が多く挙がったのが「百人一首(読み札)」。1枚1枚丁寧に描かれている札をよく見てみると、白い画用紙だと思って見ていた下地部分も白色のマーカーで塗られているではありませんか、もう、脱帽です。
■中川ももこ(やまなみ工房/滋賀)


今回の展示会場入ってすぐ、まずお客様をお迎えしてくれたのが、中川ももこさんの作品。ご自身の名前「ももこ」を書き重ねることで生まれた作品たち。会期中にはご家族で滋賀から来場もしてくださいました。その日のお召し物は、上下「ももこ」オリジナル!夏日のこの日、爽やかな風を運んでくださるようなデザインです。お客様からは、「全て違う〝味″があって、発想がおもしろい」「抽象画かと思ったら名前を書き重ねている、おもしろく見させていただきました」とコメントをいただきました。
■廣瀬純也(れもんワークス/徳島)


展示会場の中央にニョキニョキっと登場したのが、廣瀬純也さんのダンボールアート作品。その数およそ100点! 下書きなどは一切なし。ハサミを使って一気に生み出されるという動物たちは、いずれもこちらに愛らしい笑顔を向けてくれています。後ろ姿にはちゃんと尻尾もついていて、ついていない子は、ちゃんとパンツをはいています。横顔もぬかりなく、隙はないけれど何だか人懐っこい。もし貯金箱だったら、思わず硬貨をいれたくなっちゃうような可愛らしい団体さまでした。
■大西照彦(たんぽぽの家アートセンターHANA/奈良)


丸テーブルに並べられた数々の美味しそうな食べ物たち。その素材はフェルト。「映え」重視の大西照彦さんの指示のもと書かれたデザイン案と行程表をもとに、日替わりでスタッフさんやボランティアさんとペアを組み作り上げるそうです。エイブル・アート展への出展が決まってからは作品搬出ギリギリまで「映え」を追求。作品「ピザ」の〝改良″のために開催されたのは、その名も「ピザのチーズの伸びを確認する研究会(ピザパーティー)」笑。作品の横に添えられたエピソード・キャプションを見てお客様も思わず笑顔になります。
演劇にも力を入れている大西さん。ダイジェスト映像と共に、自身の体験から生まれた〝セリフ″も紹介されました。その魂の叫びに思わず吹き出してしまいました。


毎年楽しみに来場くださる方、今回初めて障がいのあるアーティスト作品をご覧になった方、会場を後にされるとき、皆さん何だかスッキリとした表情をされているように感じました。同時に展示した、可児市内支援学級児童・生徒作品が素晴らしかったと感想を伝えてくれたり、作家関連のグッズをたくさんお買い求めくださったり、たまたま通りがかりで立ち寄り気に入って友人を連れて再度来場くださったり、温もりのある展示空間となりました。たくさんのご来場、誠にありがとうございました。
創造事業課 渋谷
日 程
2025年7月12日(土)~20日(日)
会 場
可児市文化創造センターala 美術ロフト
出展作家
風香(たんぽぽの家アートセンターHANA/奈良)
YOU(YELLOW/大阪)
中川ももこ(やまなみ工房/滋賀)
廣瀬純也(れもんワークス/徳島)
大西照彦(たんぽぽの家アートセンターHANA/奈良)
可児市内支援学級児童・生徒10名
集客数
532人
主 催
(公財)可児市文化芸術振興財団
共 催
可児市
企 画
(一財)たんぽぽの家、(社福)わたぼうしの会