Event report

公演レポート

オープン・シアター・コンサート

2025 年 05 月 29 日 (木)

 オープン・シアター・コンサートは、普段劇場に足を運ぶことが難しい方にも、音楽を安心して楽しんでいただけるように企画しているコンサートです。鑑賞中に声を出しても、客席でじっとしていなくても大丈夫。時間も約1時間と短く、通常のコンサートよりも気軽に鑑賞できるプログラムです。

 また、劇場の客席は特別仕様で、車椅子のお客様に大勢ご鑑賞いただくため、客席の一部をフラットに改造。前方の客席には小さな子どもと保護者が一緒に楽しめるよう、のびのび鑑賞席(桟敷席)を設けています。

 今回、5月29日に開催したオープン・シアター・コンサートには、一般のお客様だけでなく、障がいのある方が通う学校や施設、高齢者の方など、16団体から246名の方がいらっしゃいました。そのうち車椅子ご利用の方が31名。ほかにも、乳幼児とそのお母さんなど、さまざまな方にご来場いただきました。

 演奏曲は9曲、新日本フィルハーモニー交響楽団メンバーによる美しい演奏と楽団員の田村直貴さんによる温かく楽しい解説、最後はアンコールの「ポニョ」と「さんぽ」の演奏に合わせて歌や手拍子で会場は賑やかに盛り上がりました。アンコールでは、のびのび鑑賞席の小さなお子さんが、舞台に吸い寄せられるように歩み寄り、手を振りながら全身で音楽を楽しむ、かわいらしい姿も見られました。

 公演アンケートに「客席からの音や声も、演奏の“アレンジ”のように感じた」と書いてくださった粋なお客様がいらっしゃいましたが、このコンサートは、企画の特徴から、客席から声やさまざまな音が飛び交い、静かな空間で聴く演奏会とは少し違う雰囲気です。音楽好きの方にももちろん気軽に自由に楽しんでいただける公演ですが、はじまったばかりの頃には「子どもの泣き声が気になる」といったご意見が多くありました。しかし、今回はそのようなご意見はなく、回を重ねて公演への理解が深まっていることを実感しています。

 でも、出演者はどうでしょうか。特殊な環境での演奏、演奏しにくくはないのでしょうか。少し心配になり、演奏後に楽団員の方に質問をしたところ、こんなお返事をいただきました。「聞いてくださる方が音に応えてくれているのを感じながら演奏できるのは、うれしいです。これは本来の音楽の魅力だと思いますし、演奏者も楽しんでいますよ!」。静かに楽しむだけが音楽ではない。楽団員の方の力強い言葉に、ホッとするとともに音楽の懐の深さを改めて感じ、嬉しくなりました。

 障がいの有無や年齢の違い、さまざまな違いを越えて楽しめるこのコンサートは、アーラにとっても宝物の時間です。今後も新日本フィルハーモニー交響楽団と力を合わせ、色々な方が一緒に音楽を楽しめる公演ができるよう、工夫を重ねていきたいと思っています。

創造事業課 髙野

公演アンケートより

コンサートに子どもを連れてくるのは初めてだったので、とても良い経験になりました。ありがとうございました。

子どもたちが体で楽しさを表現したり、声で気持ちを表したりいろいろな姿がみられました。曲によって、反応の良い曲、心地よく静かに聴いている曲など、素直な表現の様子が見られ良い時間でした。こういう場や時間の大切さを感じました。

子どもが動いても、みなさん温かい目で見て下さり、こちらも席に座っていられなくてもたのしむことができました!

日程

2025年5月29日(木)10:30

会場

可児市文化創造センターala 主劇場

出演

新日本フィルハーモニー交響楽団メンバー

集客数

373名

主催

(公財)可児市文化芸術振興財団

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