Essay
エッセイ・連載
先生たちに感謝
2021- 館長 篭橋義朗
2025 年 08 月 01 日 (金)
可児市文化創造センターala 館長 篭橋義朗
アーラでは年間を通して、公立の小中学校に音楽、落語などの芸術体験の機会をお届けしています。今回は、6月に「未来の演奏家プロジェクト」の一環である「小学校おでかけ授業」で広見小学校に訪問した際の感動をご紹介します。5年生4クラスにそれぞれ1時限ずつの音楽体験を提供するというもので、具体的にはチェロとピアノのアンサンブルで、教科書の曲や校歌等を織り交ぜながら、演奏中のチェロやピアノに直接手を触れて、振動で音が鳴っていることなどを楽しく体験するという内容です。
視察のため私が学校に行った時のことです。学校に着き、職員室で音楽室の場所を聞こうとしましたが、先生方はほとんど席にいませんでした。仕方なく自分で探そうと廊下に出ると、速足で歩いている若い先生がいて、その先生に話しかけました。しかし、とても忙しそうでしたので、「やっぱり自分で探して行きます」と私が言うと、その先生の後ろにいた6年生の女の子が「私が音楽室まで案内します」と申し出てくれました。予想外の展開にびっくりしていると、「今は休み時間なので大丈夫です」とのことで、私は女の子の後をついて行くことにしました。私のような高齢者に物おじせず当然のことのようにハキハキと笑顔で応対してくれました。私が自己紹介をしたところ、「えっ、アーラでピアノ発表をしたことがありますよ。アーラは大好きです」とのことで、私たちの距離は一気に近くなりました。思わず私も音楽室の前で「ありがとうございました」と頭を下げました。
可児市では、どの学校に行っても子どもたちが元気に挨拶をしてくれます。間違いなく可児市の教育スローガンである「笑顔の“もと”」が育っています。そんな未来ある子どもたちの心が豊かになるように、私たちも学校へのアウトリーチや、子ども向け事業を活発に展開していくことを通じて、可児市の未来に貢献していきたいと思います。
今回は児童の笑顔に久し振りにうれしい気持ちになりました。学校を取り巻く様々な問題がある中、子どもたちが元気に成長していること、校長先生をはじめとする先生たちが、そのために多忙の中でも正しく子どもたちを導いてくださっていることに感謝を申し上げます。