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ala まち元気プロジェクトレポート

アーラ 未来の演奏家プロジェクト

2025 年 07 月 11 日 (金)

演奏家の滞在によって新たなつながりを生む

未来の演奏家プロジェクトは、今年で10回を迎えました。演奏家が可児市に5日間滞在し、音楽を通じて地域の人々と交流を重ねるプロジェクトとして、2014年に産声を上げてから11年。回を重ねるごとに市民の皆さんとの時間もより濃く、深くなっていると実感しています。

今回は、岐阜市出身の俊英チェリスト 清水陽介さん、そして7年前にもご出演していただいたピアニストの大橋春奈さんと共に、ハードスケジュールに挑みながら充実した日々を過ごしました。

未来の演奏家の特徴的なところは、初めて音を合わせる瞬間からリハーサルを公開していることです。演奏家同士が関係を築き上げる過程、音楽が仕上がっていく過程を共有することができます。出来上がった演奏ではなくプロセスを垣間見ることで、聞く側も音楽の深さを感じることができ、最終日のコンサートでは、演奏家と気持ちを共にし、より音楽を楽しむことができました。

期間中には、小学校も訪問し、子どもたちに間近で演奏を聴いてもらい、楽器に触れて振動を感じる体験、呼吸の合図によるテンポの変化などを体験しました。一方通行の鑑賞ではなく、音楽を様々な視点で体感することで、子どもたちに興味の眼差しと笑顔が生まれていきました。先生が飛び入りで演奏に加わったり、誕生日の子にバースデイソングを演奏したり、即興的に毎回違った交流が生まれています。演奏家の瞬発力や技術を間近で見て憧れの的となり、授業後にはサイン会が始まるほどです。放課後に子どもたちがアーラに遊びに来てくれたり、ワークショップやコンサートに参加してくれます。子どもたちにとって演奏家や音楽が身近なものになっていく様子がいつも印象的です。

最終的に5日間で延べ873人がこの企画に参加し、多くの市民がクラシック音楽を気軽に楽しむことができました。劇場スタッフも演奏家と共に5日間を共にし、演奏家が身近に感じられる工夫をして、コンサート会場を演出したり、一緒に地域に根差したコンサートになるよう考え、創り上げていきました。

演奏家自身も、市民とともに過ごす日々が演奏への大きな力になると語っています。大橋さんは「演奏家である前に、私という個人を許される幸せ」を感じたと、清水さんは「近い距離で交流することで演奏の一期一会の大切さを再確認した」とお話しされていました。人と人がつながることで劇場が生きた場所であることを改めて実感させられるプロジェクトとなりました。

創造事業課 松浦

公演アンケートより

もともと楽器に興味がなくて、演奏するのも苦手だったけど、今日はいろいろなことを知って、楽器の作りなどに興味を持った。今日はとっても楽しかったので、アーラにも行けたら行ってみたいと思った。 (広見小学校児童)

小学校に来てくださったり、コンサートを開催してくださったり、私たち、特に子どもがクラシックに親しむきっかけを作ってくださり、ありがとうございました。親子でかたひじはらずにクラシックを楽しめてとても有意義な2時間でした。(40代・女性)

お2人のやりとりが姉と弟のようでとてもほほえましかったです。お2人のMCも楽しかった~!!(40代・女性)

今回も、とてもすばらしい演奏が聴けて満足しています。こんな近くで演奏者さんと話したり、音が聞けた事はなかなか無いので、今後もつづけて欲しいと思う。(50代・男性)

日  程

2025.6.18~6.22

会  場

アーラ館内(ロビー、美術ロフト、音楽ロフト)
今渡南小学校、広見小学校

実施回数

23回

参加者数

873人

講師・出演者

佐野秀典、大橋春奈、清水陽介

主  催

(公財)可児市文化芸術振興財団

協  力

可児市教育委員会、アーラまち元気部

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