文化芸術の秋です。

2024年10月1日

可児市文化創造センターala 館長 篭橋義朗

 

 酷暑の夏を乗り切り、ようやく空が澄み清々しい空気を感じる頃となりました。確実に季節は巡り、実りの秋を迎えました。目まぐるしく変化し先の見えない世の中にあっても季節の移ろいは昔から変わりなく、私たちに安心感を与えてくれます。
 

この秋、岐阜県全体で「清流の国ぎふ」文化祭2024(10月14日から11月24日)が開催され、県内各地で300を超える多彩な文化プログラムが展開されます。可児市(アーラ)では全国のバレエ・モダンダンス・コンテンポラリーダンスの団体による作品発表、地歌舞伎、盆栽展が開催されますし、ちょっと足を延ばせば文学、音楽、舞踊、美術、伝統芸能、演芸、食文化、歴史文化など文化芸術のほぼすべてのジャンルが体験できます。岐阜県での開催はまたとないチャンスであると思います。この際に岐阜県の多様な素晴らしい文化を体験してみてはいかがでしょうか。


 そしてアーラの自主事業においては毎年、夏から秋頃にアーラコレクションとして演劇を制作しており、今年は10月9日から14日まで「いびしない愛」(作:竹田モモコ、演出:マキノノゾミ、主演:南沢奈央)を公演します。一か月余りの間、可児市に役者・スタッフが滞在し、市民サポーターの協力のもと作品を創り上げるものです。アーラでの公演終了後は東京で7公演他、長岡、宇都宮、枚方、丸亀の各劇場で公演します。普遍的な家族愛、悩みを持ちながらも生きることのいとおしさを伝えてくれる物語です。アーラコレクションシリーズはこれまで14作品を制作しており、可児市の全国的なブランド形成に大きく貢献しているものと考えています。この地域ではなかなか演劇公演は開催されていませんが、「芝居を観る」という文化も醸成していきたいと思っています。演劇は人の心の奥底にある感情をあぶり出し、想像力を掻き立ててくれます。作品に感情移入し自身に置き換えることで、自己理解は深まり、人生の幅を広げてくれます。もちろん演劇だけでなく、音楽や美術等々、様々な表現に触れることで審美眼は磨かれ、暮らしの豊かさや楽しさが醸成されるのだと思っています。これを機会にぜひ鑑賞の幅を広げていただきたいと思います。