スモールステップの積み重ね

2024年5月31日

可児市文化創造センターala 館長 篭橋義朗

 

 このエッセイを書いている今は4月下旬。ちょっと遅れた桜の花も終わり、アーラの敷地内にあるハナモモも終わって、季節外れの初夏の陽光に若葉が輝き始めました。水と緑の広場の芝生も緑色が濃くなり、走り回る子どもたちの数も多くなってきました。
 今年度、アーラも新しい理事長、新職員を迎えてスタートしています。4月初旬には市役所をはじめ、関連する団体や業者の方々が、年度替わりのご挨拶や人事異動などの報告のため、多くの方々にご来訪いただいています。年度初めの4月は、それぞれが区切りの時期として改善を期すには絶好の時期だと思います。


 アーラにおいてもスモールステップではありますが、業務改善を重ねて可児市の文化の振興を図っています。より可児市民の皆様に喜んでいただけるプログラムを実施し、文化芸術を通して、地域を元気にする「えがおの劇場」をもっと打ち出していきたいと思っています。毎年この時期には新しい人材に触発されて、少しずつ自分の頭をアップデートする時期となっています。すでに来年以降のプログラムを考えていますが、特に若い人たちにアーラに訪れてもらうための仕組みづくりを検討しています。若者たちの元気なパワーがアーラ全体の活性化につながると考えているからです。そして今年度は、より市民の皆様にアーラに関わっていただくために事業のサポーターやボランティアを募集して、これまで以上に市民の皆様と多くのつながりを創っていきたいと思っています。文化芸術は社会を劇的に変えていく特効薬ではなく、時間をかけて体質改善をしていく漢方薬のようなものです。遠くを見据えて改善を重ねながら少しずつステップを踏んでまいります。


 アーラがオープンして20年以上が経っています。この間、感動と希望を生み出す高い水準の舞台芸術の創造と発信、そして人と人とをつなげ、大人から子どもまでが笑顔となるようなワークショップや学校との連携を行ってきました。今では文化庁をはじめとして市内外の方々から高い評価を受けています。スモールステップの積み重ね以外に確実に歩を進める方法はないと考え、今後も継続してまいります。