ala Collectionシリーズ vol.14『フートボールの時間』
2023年10月1日
可児市文化創造センターala 館長 篭橋義朗
10月18日から5日間、小劇場にて演劇公演『フートボールの時間』を上演します。これは「ala Collection(アーラコレクション)シリーズ」といって、毎年、第一線で活躍するキャスト・スタッフが約1ヶ月半可児に滞在しながら質の高い演劇作品を創作し、可児から全国展開している事業です。今回は大正時代にサッカーを愛した女学生の姿を描いた群像劇をリメイクします。以下、公演チラシのリード文を転記します。
~大正時代に撮影された、はじける笑顔で女学生たちがボールをけっている写真。そこに写る女学生たちのドラマを香川県丸亀高校の演劇部が舞台化し、2018年の全国高等学校演劇大会で最優秀賞を受賞しました。その戯曲を今回は演劇界で注目を浴びる瀬戸山美咲が潤色・演出し、装いを新たに上演します。良妻賢母になることが女性の理想とされ、男尊女卑が当たり前だった大正時代。女学生たちのボールの先にはどんな景色が広がっているのか。これは時代の潮流に抗い、女性が活躍できる未来に夢をつなぐ物語です。~
8月に行われたサッカー女子ワールドカップでの日本代表「なでしこジャパン」は残念ながらベスト8でしたが、十分に私たちを楽しませてくれたと思っています。2011年のドイツ大会での優勝も含めて、その活躍に興奮しながら思うことは、これは単にサッカー競技の発展だけではなく、ジェンダー平等の思想を絡めて考えれば、大正時代の女学生たちが跳ね返されていた壁が崩れるまでに100年かかっているのかと感慨深くなりました。なお今大会では国際サッカー連盟のキャンペーンの一環で各国のキャプテンは8種類のテーマに沿った腕章を選択・着用することができ、なでしこジャパンの熊谷主将は「ジェンダー平等」のメッセージが記された腕章を付けました。彼女たちの問題意識のなかに女子サッカーの地位向上、ひいては社会に存在するジェンダーギャップ改善への願いが込められていたのだと思います。
本公演には今後の活躍が期待される俳優の堺小春をはじめ、関東、東海、四国で行ったオーデションに合格した若手俳優4人も出演します。今までのala Collectionシリーズとはまた一味違う、若いパワーが織りなす「化学反応」をぜひ劇場でお楽しみください。