ピンター賞受賞作家書き下ろし!
日英の気鋭が集い送る、新たな家族の物語
日英を代表する地域劇場、可児市文化創造センターとリーズ・プレイハウスは共同制作として、可児市から世界へ放つ作品『野兎たち』を発表します。英国のハロルド・ピンター新作委託賞受賞作家のブラッド・バーチが日本各地を取材して書下ろした新作を、英国内外で活躍するマーク・ローゼンブラットと文学座の西川信廣の日英気鋭の演出家ふたりが共同演出で挑む意欲作です。出演はオーディションにより日英の実力派俳優が集結。なぜ人々は孤立し、社会的圧力に押しつぶされるのか…“個”に生きる現代人の孤独を、日英の才能があぶり出し、人々の幸福のあり方を問う、家族の物語。是非ご期待ください。
STORY
岐阜県可児市、中村家に、ロンドンで暮らす娘・早紀子が、婚約者・ダンとその母・リンダを伴い帰ってくる。母・千代が迎え入れ、しばし流れる、和やかな異文化交流の時間。だが早紀子は様変わりした自室や、娘の帰省を知りつつ不在を決め込む父・勝に不信感を募らせ、「“違う生き方”を選んだことで、自分は今も両親に罰せられているのだ」と鬱積した想いをダンに吐露する。やがて、早紀子の兄・弘樹の見舞いと称して、彼の同僚が来訪する。名古屋で妻と暮らすはずの兄。次第に、知られざる家族の姿が浮き彫りにされていく――。
相関図
日英共同制作公演
可児市文化創造センターとリーズ・プレイハウスは、地域の人々の「生きがいづくり」「居場所づくり」に力を注ぐ、ともに日英を代表する地域劇場です。両劇場は2015年に劇場提携を結んで以来、スタッフやアーティストがお互いの文化活動を学び、地域コミュニティの中での劇場の役割に関しての概念を共有してきました。そして2020年、本作でいよいよ演劇作品の共同制作に挑みます。
可児市文化創造センター館長
兼劇場総監督
衛紀生
1998年、私は初めてリーズを訪れ、プレイハウスに出会いました。地域社会と演劇、又、演劇が人々の人生を豊かにすることを支援、擁護していたさなかに、プレイハウスの真摯なコミュニティプログラムと出会い、大いに励まされました。そして、その10年後、私は可児市という人口10万人の小さな町の劇場の経営に、大学教授の職を辞して就いていました。私の使命は「プレイハウスのような地域劇場を実現」することによって日本の劇場政策に大きな変化を与えることでした。その使命を果たせた今、そして初めてのプレイハウスとの出会いから20年を経て、そのプレイハウスとの「野兎たち」の日英共同制作に取り組めることになりました。深い感慨と大きな歓びに堪えません。プレイハウスとアーラが共有するDNAを舞台に結晶化して、日英両国が未来にわたって解決しなければならない社会課題へのメッセージを織り込んだものとしたいと強く望んでいます。
リーズプレイハウス
芸術監督
ジェイムズ・ブライニング
5年前、プレイハウスと可児市文化創造センターは、最高の経験及び技術を共有することにコミットするという覚書を締結しました。5年を経た今、何千マイルも離れていても、私たち二つの劇場の文化的な共通点を見せるべく新作を共同制作できることに、私は胸を躍らせています。2020年日英文化季間は、私たちの滋養に満ちた国際関係を披露するには格好の時で、この出来たての新作をリーズ及び日本の観客とシェアできることは大きな歓びです。