このシリーズは、10年以上前に舞台化されて評価を得ながら再演されていない作品をリメイクして再評価をする話題性に富んだプロジェクトです。
可児市文化創造センターは、世界的に整った施設を持ちながら、開館以来5ヵ年は制作事業をしてきませんでした。これを見直し、毎年3本の制作事業のうち、このシリーズは、可児市にアーチスト・イン・レジデンスをして稽古をして当地での一週間公演、東京吉祥寺シアターでの一週間公演、その後兵庫県、大分県へと続きます。
ala Collectionシリーズ第三弾では、処女作「トンテントン」で劇団「空間演技」を70年に設立し、「肥前松浦兄妹心中」で岸田戯曲賞受賞、「亜也子」で紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞するなど、戦中から戦後の庶民郡像を描いて秀逸であり、他の追随を許さない岡部耕大の名作『精霊流し』を取り上げます。「おばば」と「女」の二人芝居として岡部耕大が正面から女性を描いたこの作品を、現代劇の女形の頂点に君臨する花組芝居の加納幸和が演出を手がけます。また、骨太な「おばば」を演じるのはテレビや映画で活躍するベテラン女優 馬淵晴子です。
1970年代につかこうへい以来の大型の実力派として第一級の演劇評論家から絶賛された岡部作品にいま一度光を当てて劇作家・岡部耕大を再評価したいと思います。スケールの大きな劇作家の登場が待たれる演劇界に一石を投じる、話題性に富んだ企画であることに確信を持ちます。