アーラの充実した施設群を活用し、キャスト・スタッフが1ヶ月間可児に滞在し演劇製作!
新作主義の日本の演劇界に対して消費されゆく過去の優れた戯曲に焦点を当て、リメイクして作品を再評価するプロジェクトです。また、アーチスト・イン・レジデンスを基軸として、第一線で活躍するキャスト・スタッフが可児市に滞在しながら作品を制作し、可児市から全国に発信する質の高い作品づくりを目指しています。
谷崎潤一郎作「お国と五平」と小山内薫作「息子」は共に大正時代に発表され、歌舞伎で上演されることのある人気作品です。
「お国と五平」ではある男の過剰な愛から発展する奇妙な恋の三角関係を描き、「息子」では不器用で頑固な父子の姿を描いた心に沁みる作品です。恋と父子愛、この普遍的なテーマを扱った両作品をマキノノゾミの演出と佐藤B作の主演で新たな魅力を引き出し、現代へと蘇らせます。
― ある男の過剰な愛
武家の後家・お国(七瀬なつみ)は夫の敵・池田友之丞(佐藤B作)を探すため、若党の五平(石母田史朗)とともに仇討の旅に出た。それからすでに3年の月日が経ち、お国と五平の心はいつとはなしに相寄っていた。お国と五平が旅の途中で休んでいると、やがて姿を現したのは、なんと友之丞であった。男女の縺れ合う嫉妬と愛憎を、狂気を孕んで描く谷崎潤一郎の傑作戯曲。
― 不器用で頑固な父子の姿が心に沁みる
老爺(佐藤B作)の火の番小屋へ若い男(佐藤銀平)がやってくる。老爺は内へ入って火に当たれとすすめた。しばらく話をするうちに二人の感情は互いの境遇にまで触れていた。大阪へ行っていたという若い男。老爺の息子も大阪へ行って、久しく消息を絶っている。やがて捕吏(山野史人)が姿を見せると、若い男はなぜかそわそわしだした。雪降る一夜を温かくも切なく綴る父と子の物語。